知ってた? 藤子・F・不二雄先生が描いた『ドラえもん』の最終回|アニメ漫画の影響力

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知ってた? 藤子・F・不二雄先生が描いた『ドラえもん』の最終回

ドラえもん
1
:2015/03/08(日) 11:09:14.53
漫画やアニメで人気を博している、藤子・F・不二雄先生の『ドラえもん』。
老若男女に愛されており、日本のみならず、タイやインド、中国、韓国にも多くのファンがいる。

・「本当の最終回」が存在
そんな『ドラえもん』には都市伝説として、「最終回がある」という噂がある。

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確かに、二次創作で描かれた非公式な最終回は存在する。
しかし、公式な藤子・F・不二雄先生が描いた「本当の最終回」が存在することは、あまり知られていない。
そう、最終回は都市伝説ではなく、実在するのだ!

・『ドラえもん』の公式最終回
今回は、『ドラえもん』の公式最終回を3つ紹介したいと思う。
ちなみに、『ドラえもん』好きの女子に聞いたところ、最終回3つのうち2つは知っていたが、もうひとつは知らなかった。

1. さようならドラえもん
突然未来に帰ることになったドラえもん。のび太は嫌がるが、それでも帰らなくてはならないドラえもん。
いつもドラえもんに頼りっきりののび太だったが、ジャイアンとのケンカに一人で勝利したことをドラえもんに話す。
ようやく、ドラえもんに頼らなくても生きていける一歩を踏み出したのだ。そしてドラえもんは安心し、
のび太のもとを去っていったのだった。

2. ドラえもんがいなくなっちゃう!?
ドラえもんに頼りっぱなしののび太を心配し、あえて未来に帰ることを覚悟するドラえもん。
そうすることで、のび太を自立するひとりの人間として成長させようと考えたのだ。
ドラえもんは未来に帰り、過去世界ののび太をタイムテレビで覗く。そこには、自転車に乗る練習をするのび太の姿があった。
何度も何度も練習を繰り返し、ドラえもんがいなくても成功を目指すのび太の姿が……。

3. ドラえもん未来へ帰る
時間旅行で過去の世界に観光をしにくる未来人が増加
。犯罪が発生することもあり、時間旅行を禁止する法律が制定され、
ドラえもんは未来に帰らなくてはならなくなってしまった。
号泣するドラえもんだったが、法には逆らえない。
のび太の机は普通の机に戻り、タイムマシンとのつながりが消えてしまった。そこに残るのは、のび太の姿、ただ一人。

・どの最終回を知っていた?
あえて詳しくストーリーを書かなかったので、もっと深く知りたい人は漫画を読んでみるといいだろう(入手不可能な最終話もあるが)。

3つの最終回のうち、『さようならドラえもん』はリメイクされ映画にもなったので、知っている人は多いと思われる。
いちばん知られていないのが『ドラえもん未来へ帰る』である。あなたは、どの最終回を知っていただろうか?
http://buzz-plus.com/article/2015/03/07/doraemon/
65:2015/03/08(日) 15:21:06.77
>>1
どれも最終回じゃないじゃん
66:2015/03/08(日) 15:44:58.71
>>65
掲載時は「そのときの読者にとっては」連載最終回だったのでは?
当時は全学年掲載ではなかったし
6:2015/03/08(日) 11:17:52.49
3つ共、非公式の『のび太が自力で壊れたドラえもんを復活させる、あの最終回』
に負けているのが悔しい・・・。
9:2015/03/08(日) 11:25:16.84
>>6
あれはよかったねぇ
でも藤子不二雄らしくないお話かもしれないのが残念
35:2015/03/08(日) 12:55:54.49
>>6
物語としては良いが
ドラえもんではないんだよなあれ
39:2015/03/08(日) 13:04:15.96
>>6
あれ公式設定ガン無視だからな
77:2015/03/08(日) 16:23:16.67
>>39
そもそも、その公式設定自体があやふやで矛盾だらけなのだが
藤子F先生が存命だったら、あの同人最終回には一定の評価を与えたと思う
21:2015/03/08(日) 11:39:21.37
USO800は最終回じゃなかったのか
22:2015/03/08(日) 11:41:57.92
>>21
俺も、そう思ったw
43:2015/03/08(日) 13:18:14.63
>>21
>>22

それが1の「さよならドラえもん」だよ
正確には「さよならドラえもん」
の次回の「おかえりドラえもん」だな
60:2015/03/08(日) 14:47:49.53
>>43
おかわりドラえもん
48:2015/03/08(日) 13:33:57.25
>>21
その話、リアルで読んでましたよっと
40年前だな
アレが最終回だと連載時は確かに書いてあったはずなのに、次号USO800で
復活したときは小躍りして喜んだっけ
当時はオバQやらメルモちゃんやら人気作品が沢山あったので、ドラえもんで
引っ張る必要も無いと編集は考えてたのかも

>>44
ゆとりは夢がねえなw
34:2015/03/08(日) 12:49:04.78
全部知ってる
単行本に収録されてるのは1だけだが2も3も全集で読める
52:2015/03/08(日) 13:47:13.20
67:2015/03/08(日) 15:58:13.69
「野比」
「…むにゃ……」
誰かに何度も呼ばれるが気持ちよさそうに夢の中に入っていた。
「野比、野比ッ!」
「ふぁ…?……は……はい!」
周りからクスクスと笑い声が聞こえてくる。
「授業中に居眠りとは何を考えておる!この問題を前に出てやりなさい!」
「…はい」
まだ頭がはっきりしないが先生が怒っていることだけは分かった。
黒板の前でもじもじする。チョークを持つがその手はいっこうに動かない。
「どうした、早くやりなさい」
「…分かりません」
「こんな簡単な問題が分からんのか!
 授業中いったい何を聞いていたんんだ!もういい!出木杉、答えなさい」
「はい、45です」
黒板の前に出ることなく、即答する。
「よし」
その答えを先生が書く。
そのチョークには力が込められていた。
「最近みんな、たるんどる。出木杉を見習いなさい
 宿題は間違えずやってくるしテストはいつも100点だ
 今日はたっぷり宿題を出す。忘れずにしっかりやってくるように」
「「「「ええ~~~~~~~~!?」」」」
教室には生徒たちの悲鳴が上がる。
「野比は廊下に立っていなさい!」
「……はい」



キーン コーン カーン コーン
足が棒のようになっていて思うように歩けない。
「先生もひどいよ…あんなに宿題を出されたら朝までやっても終わらないよ……」
「野比」
後から声がかけられた。
のび太のを足を棒にした張本人だった。
「…はい」
「先生は断言する。君は立派な大人になれない」
「………」
「そうならないようがんばりなさい」
放課後になりとぼとぼ下校するのび太。
突然辺りが暗くなる。
落ち込んでいるのび太の進行を阻むのがあった。
その存在に気づかないのび太。
ゴチン!
「いたいッ!」
頭に強い衝撃が走った。周りがチカチカする。
そのままよろめくと誰かにぶつかった。
「やい!のび太!!」
「おまえのせいだからな!」
校門で待ち伏せていたのはいつもの二人だった。
「…………」
「今日はジャイアンズの練習日なのにだいなしになっちまっただろ!」
「そうだ!そうだ!どうしてくれるんだ!!」
食いつくようにのび太を責める二人。また殴ろうとするジャイアン。
殴ってもまだ怒りが収まらないのか再び殴りかかろうとする。
「し、知らないよ!!」
すかさず逃げ出す。
「「こら、逃げるのか!!」」
ジャイアンたちも追いかけようとしていた。
68:2015/03/08(日) 15:59:01.90
「ハァ、ハァ…ボクだって好きで怒られているわけじゃないのに…」
後ろを振り向くが誰もいない、逃げ切れたようだ。
いつもならしつこく追ってくるが今日は簡単に振り切れた。
どうやらジャイアンたちも宿題に取りかかるらしい。
「ちぇっ…」
ちょうど曲がり角にしずかちゃんが歩いてた。
それと同時にジャイアンに殴られた痛みがどんどん引いていく。
「あれは……そうだ!しずかちゃんに宿題を教えてもらおう!!
 ついでにおしゃべりしようっとウヒョヒョ!しずかちゃーーーん!!!」
「あら、のび太さん」
「やぁ、のび太くん」
(出木杉!?)
死角になって見えなかったが、隣には出来杉がいた。
「のび太くんもいっしょに帰ろうよ」
出来杉に誘われてなにか釈然としないのび太。
できるだけ顔に出さないように心がけたが無理だった。
「ああ…」
二人の後を追うような感じでついていくのび太。
「でも出木杉さんって本当に頭がいいのね」
「いやぁ、たまたまだよ」
さわやかな笑顔で応える。
(くぅ~!「たまたまだよ」だよって!キザなセリフ!)
「勉強はおぼえることが多いように感じるけど、大事な所はほんの少しだよ」
「でも今日の宿題はとくに多いから時間がかかるわよね」
「あれくらいなら10分ぐらいで終わるよ」
(10分!?)
「すごいわ!わからないところ教えてもらってもいい?」
「かまわないよ」
もうしずかちゃんには出来杉しかうつっていなかった。
「ねぇ、のび太さんも教えてもらいましょうよ」
「…うん」(ぐっ!ぐぞぅ~!!)
いいことを思いついた。
出来杉にはなくてボクにあるもの。
考えれば簡単なことだったなんでもっと早く気づかなかったのか。
「悪いけどボク用事を思い出したから先に帰るね」
「ええ、さよなら。のび太さん」
かけ足で家に直行するがいつまでも二人の楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
タタタタタタタタタタタタタタ
二人の笑い声を追い払うように駆け足で家に向かう。
「くそーッ!!」
ヂヂヂィ…
後から変な音がした。

いままで聞いたことがない変な音が。
「ん?」
振り返るがなにもない。
「…気のせいか」
いつもより早く着いたが、家の門の前で立ち止まる。
「ママには宿題のこと絶対気づかれないようにしないとな」
そ~っと扉を開く。気づかれていないようだ。
ガシャン!
ドアの音が予想外に大きくて驚く。
(…たくっ…普段ならこんな音しないのに…)
でも気づかれたような様子がない。
廊下も玄関も静まりかえったままだった。
(いないのかな?)
居間のふすまをおそるおそる開けてみるが誰もいなかった。
そーっと台所ものぞいて見たがやはりいない。
「ママー、帰ったよ」
辺りに声をかけてみるが返事はない。
69:2015/03/08(日) 15:59:51.73
台所にいつも掛けてあった買い物袋がなくなっていた。
「そうか、買い物か……よく考えたらテストのことママは知らないんだった……」



くつろいでおいしそうにどら焼きを食べているドラえもん。
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタドタ!!!
階段を勢いよく登ってくる音がする。
「帰ってきたか」
どら焼きを守るように少し体勢を動かす。
さわがしくした物体がふすまが開けた。
「ドラえもん!」
ランドセルを机に放り投げ駆け寄る。
「おかえり、またジャイアンに追っかけられたのかい?」
「それが先生に立たされて!宿題どっちゃり!!出木杉のキザっぷり!
 しずかちゃんデレデレ!ジャイアンとスネ夫を殴るし!それで買い物はママ!」
支離滅裂なことを早口で喋り出す。
自分でもなにを言ってるのか分からないようだった。
「じゃあ見返すために早く宿題をやったほうがいいね」
「…よく伝わったね」
「ま、付き合いが長いからね」
「だから例のペン出してよ」
のび太が手をさしのべる。その手は鉛筆をもつような手になっていた。
「ペン?」
きょとんとするドラえもん。
「またまた~、分かっているくせに~。コンピューターペンシルのことだよ」
身体をすり寄せてくる。
「もう使わないって約束しただろ!!」
「そんなこと言わないでさ~」
「勉強は自分の力でやらないと意味がないんだよ。たとえ結果が悪くてもね」
「次からは自分の力でやるから!」
「いまできることを後にのばすのはよくないよ」
「そんなこと言わずになんとか!」
崇めるように両手を合わせている。
「…………」
「今回だけ!お願い!もう二度と使わないからさ」
「前にもそんなことを言ったよね…」
「ボクの頭であれだけの宿題をやったら一年かかっても出来るわけないよ」
「あきれた!」
「ねぇ~ドラえもんくぅ~ん。今日のボクのおやつをあげるからさ~」
「…………」
「今日のはなんだと思う?ど・ら・焼・き」
目の前にある一つだけのどら焼きを眺めながら甘くささやく。
ドラえもんがいま皿にあるどら焼きが増えるのを想像する。
それだけでよだれが出てきそうになってくる。
「……今回だけだよ」
どら焼きの誘惑には勝てそうにはなかった。
「さすが!ドラえもん!分かってる!大好き!!」
ポケットをごそごそさせながらにやにやする。
もう頭の中にはどら焼きしかないようだ。
「ホントに、もう………」
ジ……ジィ……
あのときの不思議な音がする。
「ん?」
バチン!
それよりさらに変な音がした。なにかが切れるような音が。
その音と同時にドラえもんが動かなくなる。
「ん?」
部屋が驚くほど静かになった。
静かすぎて耳が痛くなるほどに。
70:2015/03/08(日) 16:00:27.01
「いまごろイヤになったってドラえもんのどら焼きまで食べちゃうぞー」
どら焼きを食べるふりをするが一向に反応がない。
「ドラえもん…?」
様子がおかしいことに気づく。
「どうしたの!?」
いくらゆすっても反応がなかった。
「どうしたんだよ!ドラえもん!!しっかりして!!」
なんど呼びかけても反応がなかった。
突然の出来事にぼーっとしているのび太。
やがてカラスの鳴く声が聞こえてくる。
「…なんで……ドラえもん…ドラえもん…」
いくら呼びかけてもいつもの声は帰ってこなかった。
何かを思い出しそうになった。
「そうだタイムふろしきだ!」
急いでドラえもんのポケットに手をつっこんだ、無我夢中で。
だけどいつもの広がるような開放感がなくなっていた。
「え…」
戸惑いながらも押し入れにあるスペアポケットも試してみたが同じだった。
ポケットに底がある。ただのポケットになっていた。
「何なんだよ!いったい!?」
声を荒げても落ち着くことはできなかった。
時間が経つと嫌なことばかり考える。
チッチッチッ…
今までは気にもしなかった時計の針の音まで聞こえてくる。
しだいに部屋が赤く染められる、夕焼けが見えてきた。
暗くなったが、電気をつける余裕がなくなっていた。
「タイムマシン!」
視線が一気に机にいく。
意識しなくても早押しになった。
歩けば数歩の距離がとても長く思える。
「ははは、なんで気づかなかったんだろう!バカだなぁ!!」
一番上の引き出しを開いた。
開くことにはひらいた。
だが普通の机になっていた。
「……そんな……どうなってるんだよ……」
他の引き出しも開けてみたがただの机だった。
何も、なにもできくなくなった。
「…お願いだよ…目を覚まして…もうわがままなんて言わないよ…
 …自分の力で100点を取る……もう絶対に困らせたりしないからぁ…
 …朝だって一人で起きるよ……ジャイアンにだって負けない……だから……
 …そうだ……おやつだってこれからずっと全部あげるよ!だから!!」
どこから出てくるのか信じられないの勢いで涙がこぼれおちる。
「ドラえもん!」
大粒の涙がドラえもんを濡らす。
「…………」
どれだけ叫んでもどれだけ泣いても反応はなかった。
涙と鼻水とおえつが止まらない。
「うっ…っくぅ……うううぅ…えっ…」
困っているときにはいつも話しかけてくれたあの声が聞こえない。
つらいときにはいつもあらわれてくれたあの姿が動かない。
「……ドラえ…も…ん…」
それでもドラえもんは動かなかった。
止まってしまった。
「……ぅ…………うわああああああああああああああああああ!!!!」
止めどなく流れ続けていた涙がドラえもんを濡らす。
バヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂチチチチチチチッィ!!!!!
鮮烈な音と風により部屋の景色が歪む。
蛍光灯とカーテンがはげしく揺れた。
「なんだ!?」
空間にひずみが出き始める。
71:2015/03/08(日) 16:01:04.91
そこからは見覚えのあるタイムマシンが現れた。
しかしどこか違和感があった。
座席には見慣れた黄色いロボットがタイムマシンに座っている。
「…ドラミちゃん!!」
よかった。
あれだけ涙を流したのにまだ出てきた。
やっと事態が好転したような気がしたから。
「のび太さん!お兄ちゃんは!?」
「それが大変なんだよ!」
横たわっているドラえもんを見る。
その表情は厳しく、たしかな落胆があった。
「…どうして……壊れるまえにワープしたはずなのに……ずれている……」
「…え?」
タイムマシンから降りてドラえもんに駆け寄る。
ドラミちゃんのタイムマシンの違和感の正体が分かった。
ひどくボロボロになっていたのだ。
ところどころから煙が吹き上げてるし、火花も散っている。
「いったい…」
視線をドラミにのほうに移した。
ポケットに手を入れたりしてドラえもんの状態を診るドラミ。
それは手慣れた動作というよりもあらかじめ知っていたかのような感じだった。
「…やっぱり」
それから引き出しを調べた。
「…まさか…ドラミちゃんも…?」
「ええ…私の四次元ポケット、道具も使えなくなっているの」
「…じゃ……ドラえもんは大丈夫なの……?」
「のび太さん!私もここには長くはいられないの
 タイムマシンもだいぶ無理をさせたからあと一回しか使えないわ」
急いでタイムマシンに乗り込むドラミ。
「待って!ドラミちゃん!!ドラえもんは!ドラえもんは!?」
「…お兄ちゃんは…もう戻らないかもしれない」
「…そんな」
バチチチッチチチチチチチチチチチチチチ!!!!
再び空間にひずみが広がる。
その反動か、ドラミのタイムマシンからさらに煙がふき出てくる。
あきらかに無理をしているのがよく分かった。
「でも…のび太さんがお兄ちゃんのことを想っていてくれるなら
 いままで経験してきたことをずっと覚えてくれるなら。この現実を変えら───」
話が途中のまま、ドラミの姿が消えていく。
バシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
空間が元に戻り、タイムマシンが完全に消えた。
立ちこめていた煙も消え、日が完全に沈む。
「のびちゃーん、帰ってきたの~?ご飯よ~」
一階からママの声が聞こえてくる。
「…………」
流れ続いていた涙が静かに止まった。
72:2015/03/08(日) 16:01:38.57



「野比、出木杉よくやった。いつも全問正解しているのは出木杉と野比だけだ

 剛田と骨川はなんだ!やってこないとは!廊下に立ってなさい!!」



「しずかちゃん、一緒に帰らない?」
「ごめんなさい、出来杉さん。友達と約束してるの」
「そう、じゃあまたね」
「ええ」



「のび太さん。いっしょに帰りましょ」
「うん」



「すごいわね、のび太さん。昨日の宿題はとくに難しかったのに
 それにテストはまた100点だったもの。尊敬するわ」
「ありがとう」
消え入りそうな笑顔を見せる。
「…ねぇ、これからうちに遊びに来ない?」
恥ずかしそうにしてのび太を誘う。
その仕草は友達としての一線をこえているようにみえた。
「ごめん、用事があるんだ」
「…そう、またね」
「うん、さよなら」
見送るのび太の後ろ姿にはどこか陰があった。
それは昔からだったのか、もう思い出せなくなってきた。
「ずっと話さなくなったけど忘れちゃったのかな…ドラちゃんのこと…みんなも…」
いつからかジャイアンもスネ夫もドラえもんのことを口にしなくなっていた。
忘れたとはどこか違う。最初から存在していなかったかのように。
何度かドラえもんのことを聞こうと思った。
だけど話をしてはいけない、そんな空気がのび太にただよっていた。
「あ、雪だ…」
降ってくる一つの雪粒に手をさしのばす。
はかなくもその雪は手の体温により溶けてしまう。
「想い出は消える…か…」



のび太の帰宅通路にいつもの二人組が待ち伏せていた。
「やい、のび太!」
「お前みたいな真面目な奴がいるからこっちが迷惑するんだぞ!」
「…………」
ゴチン!
力まかせにのび太をぶん殴るジャイアン。
「…………」
何の表情も表さずジャイアンの眼をしっかりと見つめる。
痛みを気にしている暇はない、そんな感じだった。
「な、なんだよやるのか!?」
「もう行っていい?」
「あ…ああ」
「どうしたのジャイアン、行っちゃうよ?」
「あいつ…本当にどうしちまったんだ…」
73:2015/03/08(日) 16:02:22.56



「お帰りなさい、のびちゃん」
「ただいま、母さん」
「…おやつあるからね」
「うん」
「…………」



とまどう周囲の友人、親。
のび太が突然、大人のように変貌する。
しかしその違和感も少しずつなくなっていった。
永遠のように繰り返されていく日々が疑問を消していく。
しずかちゃんがそんなのび太に恋をするのは無理がなかった。
誰よりも違う目をする少年、誰よりも違う世界を生きる少年になったから。

そして、時は流れる──────

長い月日が流れた。
それは何かを忘れてるには充分な時間だった。
未来とつながりが絶たれたときから多くの想い出も消えいった。
トントントンッ
かろやかに叩かれる包丁の音。
辺りに広がるスープの香り。
「そろそろ帰ってくるころね」
壁にある時計を見ながら残りの仕込みを手際よく終わらせる。
あとは最後の仕上げをすれば終わるようになった。
待つだけである。
ガチャン
玄関のほうから扉の開く音がする。
(帰ってきたわ)
エプロンを脱ぎ、迎えに行く。
「おかえりなさい」
「ただいま」
のび太が脱いだ靴をきちんと整える。
「ご飯にします?」
「頼む」
流れるようにコートを預かりハンガーに掛ける。
それは慣れた手際だった。何年もかけて築いた行動。
ネクタイをゆるめはずそうとする。
「今日は特に寒かったですね」
「うん」
「武さんとスネ夫さんが今日来るみたいよ
 断っても無理にでも来るらしわ」
「そう、わかった」
「ご飯ができたら呼びます」
「うん」
のび太はそのまま階段を登っていく。
静香は台所にゆきスープの仕上げをする。
「もうちょっと…牛乳とハチミツかな…」
味見をする。酸味がへりまろやかになった。
「うん、今日も上出来ね!」
火を止めてそのままにする。
ご飯の用意ができたのでのび太を呼びにいく。
冬になるとひんやりと冷たくなるコンクリート製の階段。
でも今日はいつもよりあたたかいような気がした。
いつもより料理がうまくできたからかもしれない。
いくつになってもうまくいくとうれしいものだ。
74:2015/03/08(日) 16:03:01.19
のび太の部屋の前まえに着く。
コンコン
木製のドアを軽く扉をたたく。
「ご飯の用意ができましたよ」
部屋からいつもの返事がない。
コンコン
もう一度叩いてみるがやはりいないようだった。
「仕事部屋のほうかしら?」
足をさらに奥へ運ばせる。
(めずらしいわね。私がいるときは行かないのに)
回廊を渡って仕事部屋の前に行く。
静香でもあまり行かないところでもあった。
こっち部屋のドアはスチール製になっている。
コンコン
「ご飯ですよ」
「ああ、分かったよ」
いつもの返事がしてほっとした。
でもいつもよりあたたかさがあったような気がする。
「待ってますね」
きびすを返して部屋に戻ろうとする。
「静香」
「はい?」
「入ってきてくれ」
かすれそうな小さな声が扉の向こうから聞こえてきた。
(どうしたのかしら。この部屋にはなかなか入らせてくれなかったのに)
「失礼します」
アルミ製のドアを開ける。
やはり木製よりすこし重かった。
手にもひんやりと冷たいのが伝わってくる。
「…え?」(どういうこと?)
戸惑った。
ドアを開けたらもう一つ扉があった。
2つ目はふすまの入り口になっていた。
中に誰かがいるそんな気配はする
ためらいながらも声をかける。
「入ります」
「うん」
少しの音をたて扉を開ける。
開けた先に広がる光景は既視感があった。
どこかで見たような昔の景色、部屋の配置。
だけど思い出そうとすると頭がいたむ。
まるでそれを禁じていたかのように。
「…………」
「…………」
「ここは……昔のあなたの部屋」
幼少の頃の、のび太の部屋そのものだった。
今ではなつかしい、畳、机などがそろっている。
「長い間、秘密にしたね」
「どういうことなの……これがあの時の……」
「うん。この思い出だけは、壊したくないから、どうしても忘れたくなかったから」
「…話してくれて嬉しいわ、あなた」
「すまない」
わかっていたのかもしれない。
ずっと消えなかったあたたかい想い出。
永遠に続くと想っていたあのころ。
急に変わってしまった、あの人。
「静香」
のび太が声をかける。
よく見るとのび太の後ろに何かがあった。
75:2015/03/08(日) 16:03:43.84
のび太が移動するとたしかにそれを確認できた。
どこか非常に懐かしくさせるものが。
「覚えているかい?」
「ええ」
涙がこぼれそうになった。
「…みんなはこの記憶を失っていったのになぜか君だけは覚えていたね
 だから僕は君に近づいたのかもしれない、この想いを共有したかったから」
「それだけの理由で?」
「ううん、君を好きだという気持ちは子供のころから少しも変わらないよ。静香」
「…うれしい…」
胸の高鳴りがあった。顔も昂揚してくる。
たまっていた涙がこぼれおちた。
「…………」
その流れる涙をのび太がふいてくれる。
いつからか離れていった子供の頃の、のび太。
それがようやく近づいてきたような気がした。
「それは?」
のび太が手にのせていた小さなチップ。
静香にもそれがなんだるのか想像できた。
「ボクが、ボクなりに築いてきたものだよ」
「…だから……なぜあなたが遠い人になったかやっとわかりました」
「つらい想いをさせたね」
「いいえ、それでも私とても幸せでしたから」
「ありがとう」
あまりにもいとしい静香をかるく抱きしめた。
しばらくのあいだ、そのまましていた。




「はじめるよ」
「はい」
開かれていた胸にチップを丁寧に組み込む。
のび太の手がふるえていたのがわかった。
静香がその手にそっと添える。
「…………」
「…………」

ブウウウン


短い起動音が鳴った。







「のび太くん。宿題はできたかい?」







「できたよ、ドラえもん」
76:2015/03/08(日) 16:04:20.68



「大きくなったね」
「うん」
「眼鏡かけなくなったんだね」
「うん」
「のび太くん」
「…うん…ぅっ…うわああああああああああ……ドラえもーん!!!」
勢いよくドラえもんに抱きつく。
この日のために、この時のために感情を抑えてきた。
それがいまとき放たれた。
「泣き虫なのは少しも変わらないね」
2人の再会に静香も涙を流していた。
ヂヂィ…



「みんな少しずつドラえもんのことを忘れていったんだよ」
「…………」
「普通に忘れるとかじゃなくて、記憶を消されていく…そんな感じだったんだ」
「僕が止まったあの日から?」
「うん、それで──」
カーテンや椅子が揺れ出す。
「なんだ!?」
身体が少しだけ浮きかけていた。
「これは…あの時の…」
バチッチチチチチチチィチチチチチ!!!!!!
今でも忘れることができないあの音がまた聞こえる。
空間に歪みが発生した。
どことからなく声が聞こえてくる。
「……お兄ち……ゃ…ん………聞こ…え………?……」
「ドラミ?」
「ドラミちゃん!」
所々からドラミのタイムマシンが確認できた。
気のせいか、あの日から少しも変わっていなかったような気がする。
「…お兄…ゃん……よか…った…」
「どうしたの!?」
静香ちゃんも異変には気づいたようだった。
衝撃が広がりガラスにヒビがはいる。
「……ありが…とう……のび…太…さん…
 …想いを……大事に…て……れて……あ…りが……ぅ……」
「ドラミちゃん?」
「………が…この…まじゃ……世界…が………」
ジジジジジィジジジジジッジジジジ!!!!
「ドラミ!?」
空間の歪みが消え、ドラミとタイムマシンも消える。
タイムマシンで消えたというより閉ざされたような感じだった。
シュウウウウウウウウウウウウウウ!!!
それと同時に机から煙がふきあげる。
かつて幾度となく願ったものが反応した。
「タイムマシンが動き始めた…?」
「…………」
「…………」
「のび太くん、しずかちゃん」
「うん」
「はい」
「僕はドラミに何がおきたか確認に行く」
「…………」
「…………」
82:2015/03/08(日) 18:15:43.26
「…で、どうするよ?今なら誰も見てないよ」
スネ夫はみんなに向かって言う。どこか冷めた声だ。 視線もまた暗い。
しかしその瞳の奥には、何か決意をした、そのような色が見えた。

「どういうことだよスネ夫?」
普段は卑屈なスネ夫、そんな彼とは思えない威圧的な口調に、ジャイアンは少し戸惑っている。
スネ夫はそんなジャイアンを見つめ、病室全体を見渡し、静かな声で言った。
「だからさ、いまここでのび太の生命維持装置をちょっといじればさ、わかるだろ?」

スネ夫の思わぬアイデアに、病室内の空気が一変した。
ハッとしたような表情を浮かべ、互いに顔を見合わせる。
様々な思いが錯綜している。しかし今のスネ夫の言葉は、そんな彼らに一つの道筋を示したのだ。
みんながスネ夫を見つめる、誰もが。戸惑いつつ、何かに縋るような目で。
その視線を受けとったスネ夫は、意を決したように無言で頷いてみせた。

スネ夫の手が、生命維持装置のスイッチに伸びてゆく。
シンと静まり返る病室で、生命維持装置の立てる小さな機械音が、やけに大きく響いた。
その様子を全員が固唾を呑んで見守っている…祈るような、そんな目付きで。
83:2015/03/08(日) 18:16:15.10
が、スネ夫の手がスイッチに触れようとしたそのときだった。
突然のび太が反応した。

「助けて…」
呼吸器の隙間からかすかに漏れる声は、確かにそう言っていた。
「…助けてドラえもん。今度は真面目に生きるからさ。」

その声にはっとなり動きを止めるスネ夫。
部屋の空気も止まった。
ベッドで眠るのび太の目から、涙が一筋流れ出る。
その涙はゆっくりと頬を伝い、そのまま鬢の辺りに流れ落ちた。

「どうしたんだよスネ夫、早く切ってしまえよ!」
戸惑いを見せながらも、ジャイアンが叫ぶ。

しかしスネ夫は動かない、いや、動けなかった。
散々自分達を騙し、多くの人間を苦しめたそののび太が、今、目の前に横たわっている。
殺したいほど憎んだその男は、今は誰よりも無力だ。
生命維持装置のスイッチを少し動かせば、のび太は確実に死ぬ。
元々瀕死の重傷だったのだから、殺人とバレる可能性も薄い――しかし、しかし!
84:2015/03/08(日) 18:16:49.48
「止めて!」
緊張した空気を打ち破るように、しずかちゃんが叫んだ。
「のび太さんを殺さないで!私の愛する人を殺さないでっ!」
泣き叫びながら、しずかちゃんはのび太に縋りつく。
「のび太さん生きて、お願いっ!そしてもう一度私を抱きしめて!…私、あなたを本当に愛しているのよ!」

静かな病室の中で、しずかちゃんの泣き声が響き渡った。
病室の隅で、のび太の母もすすり泣きを始める。
スネ夫は一度目を瞑り、生命維持装置のスイッチからゆっくりと指先を離した。

もう、迷いは無かった。確かに彼はスネ夫にとっては父の仇である。
しずかちゃんの人生を破壊し、ジャイアンの妹を死に追いやり、家庭を滅茶苦茶にした罪深き男だ。

だが、彼には生きてその罪を償ってもらおう、そう思った。
もう一度、のび太の言葉を信じてやろう…それが友情じゃないか。

ふと見ると、ドラえもんが涙を流していた。
ネコ型ロボットにも、涙腺があるんだな…そんなどうでもいいことをスネ夫は思い、ドラえもんに微笑み返した。

その後のび太は無事に一命をとりとめる。
これから、のび太の贖罪の日々が始まるのだ。 (了)
85:2015/03/08(日) 18:29:36.56
「ここで行ったら今とは違う現在になるかもしれない
 おそらく過去を変えることになるから」
「…………」
「…………」
「…それでも」
「静香は?」
「あなたの道は私の道でもありますから」
「ありがとう。行こう」
懐かしむかのようにタイムマシンに乗る3人組。
年はとってもその関係は少しも変わっていなかった。
ビーッ!ビーッ!
『定員オーバーです。このままでは予定ポイントに到達できない可能性が生じます』
「どうして!?タイムマシンの仕様が変更されている!!」
ドラえもんがタイムマシンの設定をいじる。
「…………」
「…………」
「私、降ります。2人で行ってください」
「それじゃ君が」
「のび太くん。仮に歴史を変えてもしずかちゃんは消えるわけじゃないよ
 ただ別の現在に移り変わるだけなんだ」
「だけど…」
「二人ともお気をつけて」
「行ってくる、どんなに時間が変わっても君を嫁ぐ、約束するよ
 出会えたらきょう食べられなかった料理を作って欲しい」
静香の唇にかるく触れる。
「また逢いましょうね」
顔が高揚し、涙が流れおちた。
「しずかちゃん、そのやさしいさはずっと変わらないね」
これ以上にない幸せな笑顔をする。
それは心からの笑顔だった。
タイムマシンから静香が降りる。
ドラえもんがタイムマシンの調整中に上から静香と別の話し声が聞こえてきた。
どこかひどく懐かしい声が。
「へこたれたら承知しねーぞ、のび太。がんばれよ」
「ドラえもん、気をつけてな」
上をのぞくと見慣れた二人組が顔を出していた。
「武…スネ夫……どうして?」
「みんな…」
「覚えてたの?」
「バカヤロ」
「忘れるかよ」
「…っ……」
「おっ、久々に泣き虫のび太が見られた」
「へへへ、本当だ」
なつかしい二人の悪態が心地よかった。
恥ずかしいのか、顔を合わせようとしないのび太。
「ドラえもん、のび太」
「「俺たちずっと友達だろ!」」
「「うん!!」」
悲しいわけじゃないのに涙が流れた。
ただただ涙が流れた。うれしくて。
もう戻ってこられないかもしれないのにうれしかった。
『座標軸を確認。発進します』
ドラえもんが操作することなくタイムマシンが突然動き出した。
「「!?」」
シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ


86:2015/03/08(日) 18:30:10.95
「のび太くん、何かが狂ってこんなことになったかもしれないんだ
 もしかしたら僕が壊れてしまったのは別に原因があるのかもしれない」
「…………」
「のび太くんが、みんなが進むはずだった過去を、未来を、現在を取り戻そう」

ピー!

『現在の情報で到達可能ポイントは1件です』
検索結果が画面へ写し出される。
「これは……のび太くんたちの時代…?」
『到着しました』
バシュウウウウ………



まぶしい日差しが部屋を包み込む。
ジリリリリリリリリリリリリリリリ
けたたましく目覚ましが鳴る。
カチッ
音がとまった。
「んん…」
「うー…なんかへんな夢を見たような気がする……」
「へんな夢をみたじゃありません!早く起きなさい!遅刻するわよ!!」
「えっ!?」
時計の針は通学するにはどうしようもない時間を指していた。
「あー!?遅刻だー!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドド
大急ぎで階段を降りていく。
「まったく、あの遅刻癖はどうにかならないのかしら…」
その騒ぎに反応したのか押し入れが開く。
そこからドラえもんがのそっと出てきた。
「ドラちゃん、のび太を起こしてくれないと困るじゃない」
「え…あ、はい」
まだ眠いのか、ぼーっとしていた。
「行ってきまーす!」
いつもの慌ただしい一日が始まった。



授業も一段落ついてあと少しでチャイムがなるところだった。
すでにのび太はあっちの世界に旅立っていた。
黒板を消し終わって、先生が教壇から紙の束を取り出した。
「最後に先週のテストを返す」
「!?」
呪いの言葉で一気に目が覚める。
この世のどんな目覚ましよりも強力な言葉。
(うへぇ、勘弁してほしいよ…)
「名前を呼ばれたら前にきなさい」
1人、2人、3人──順序よくテストの答案が返されていく。
(いよいよ次が僕の番だ…)
「浜田」
(え?…僕のは…?)
「今回のテストはむずかしかったから平均点が低かった。もっとがんばるように」
(あれー?先週休んだっけ?まあいいか…怒られないし。ふふふ)
キーンコーン カーンコーン
最後の授業の鐘が鳴り一日が終わろうとしていた。
「野比、野比!」
はるか遠く先生が廊下から呼んでいる。
(そんなにうまくいかないか…いつになく厳しい声だな…また0点かぁ…)
87:2015/03/08(日) 18:30:43.36
さっきの声のせいか顔つきまで怒っているように見える。
「……………」
「……………」
目の前に先生が立つ。
のび太には鬼にしか見えなかった。
先生がしゃべるまえになにか言ったほうがよさそうだ。
「勉強はしたんですけ……」
「よくやったな」
「だからすみません!………えっ…何がです?」
「百点だよ」
「ヒヤクツテンダヨ…?」
(ひやつくてんだよってなんだ?)
怒りの言葉なんだろうか。意味がわからなかった。
「野比がテストで百点をとったんだよ」
「えーっ!僕が!?」
「そうだ」
「ホントに?」
今日が4月1日ではないことを確認した。
黒板の日付けは明らかに違う日を指していた。
「もちろんだとも」
「百点…」
「ああ、先生も絶対にそんなはずはないと思って何度も確かめたんだが
 間違いなく満点だ。やっと成果が実ったんだな」
「先生!ありがとうございます!!」
答案を受け取り深々と頭を下げる。
「タラリラリーン♪こんないい日があっていいのでしょうか~♪」
事情を知らないジャイアンとスネ夫が通りかかった。
のび太が廊下でくるくる回っている。壁にぶつかってもずっと回り続けている。
「ついにバカがパーになったか」
「近寄らない方がいいよ。ジャイアン」
「そうだな」
ジジジ…
「ん、なんか聞こえたか?」
「…うん?」
あたりを見渡すが何もなかった。
「のび太の壊れたネジの音じゃないの」
まだくるくる回っていた。
「そうだな。はやく空き地に行こうぜ」



「あれ?しずかちゃん。そろそろ風呂に入る時間じゃないの?」
「う~ん、そうなんだけどなんか身体がすっきりしているのよね」
「そうなんだ」
「…………」
「…………」
「もう!のび太さんたら。なんでそんなこと知ってるの」
「あっ…ハハハハ…なんとなくね」



「スネ夫、新しいラジコン買ったんだってな。空き地で遊ぼうぜ」
「うん…」
(なんで知ってるんだよ)
「おい」
「な、なに?」
「電池をたんまりもってこいよ」
「…うん」
88:2015/03/08(日) 18:31:15.28



プスプスプス…
「何で飛ばねぇんだよ」
「…知らないよ」
「新品じゃないのを持ってきたのか!」
「違うよ!買ったばかりなんだよ!!」
「もういい!!」
ラジコンのコントロールを乱暴にぶん投げる。
ジャイアンが空き地からいなくなった。
「電池が無駄遣いされなくてよかった
 でも新品で買ったはずなんだけどなあ」



怒りながら道を歩くジャイアン。
そこをとろそうにてくてく歩く者がいた。
(おっ!のび太のやつだ)
確認できしだい自分の姿勢を正す。
まず顔の体操をして、引きつった顔を直すことに心がける。
口を開けたり目をぱちくり。
だんだん顔の引きつりがとれてきた。
怪しまれないようにできるだけやさしい声で。
よし。
「お~い、心の友よ~」
なんの疑いもなくのび太がやってくる。
どうやら買い物の帰りらしい。
「どうしたんだいジャイアン?」
「むしゃくしゃしてんだ!ぶん殴らせろ!!」
ジャイアンの変貌ぶりに気づいたときは遅かった。
魔の手がのび太の頭にせまる。
ゴチン!ゴチン!!ゴチン!!!
「いたっ!痛い!!いたいよ!!」
予想どおりの反応が返ってきた。
「あーすっきりした!あばよ!!」
気分爽快に我が家に帰っていく。
口笛まで聞こえてきた。
「…いったいなんなんのさ…痛いな………あれ…?……」
頭をさすってみる。なにか変だった。
「…ぜんぜん痛くない?」
思いっきり自分の頭を殴ってみた。
「痛い!」
ジジジジィ…
どこかで聞いたような音がした。
すぐに振り返ってみたが誰もいなかった。
「何かへんだぞ…」
薄気味悪くなる。
「ドラえも~~~~~~~~~~ん!!」
ドタドタドタドタドタドタドタドタドタ!!
「ドラえもん!」
「お帰りのび太くん。またジャイアンに追いかけられたのかい」
「ドラえもん……?」
「ん?」
「何でどら焼きを食べてないの…」
どら焼きをどけてせんべいをおいしそうに食べている。
「え?…そういえば…」
「やっぱり………何か変なんだよ!」
ジジジジ…
「ん?」
89:2015/03/08(日) 18:31:51.38
空間にわずかな亀裂が入っていた。
その隙間から見える光景はタイムマシンのそれと似ていた。
「…………」
「なんかへんなんだよ」
「いったいどういうこと?」
ピンポーン
下から玄関のチャイムがなる。
誰かが来たみたいだった。
「ん?」
ピンポーン ピンポーン ピンポーン
けたたましく鳴らされるチャイム。
「ママはどこに行ったの?」
「さっき買い物に行くって言ってたよ」
「新聞屋さんかな?」
ピンポーン
「はーーい」
めんどくさそうにのび太が玄関へ向かう。
階段から降りる途中、ドアの閉まるような音がした。
「どなたですか?」
声をかけるが返事がなかった。
しばらく待つが誰も顔を出さない。
玄関の扉を開ける。
「…あれ?誰もいないじゃない」
ドアを閉めて自分の部屋に戻ろうとした。
その時。
悪寒がした。
自分の眼が下を見るなと言っている。
(なんだよ、みたっていいじゃないか)
いや叫んでいる。
けれど好奇心に打ち勝つ術などなかった。
おそるおそる下を見つめた。
「え…?」
┌─────────────────────────┐
│★☆★☆★☆★― 剛田 武の新曲発表―★☆★☆★☆★│
│☆                                  ☆│
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│★    ┗━┛┣╋┛┗┳┓┏┛  ┃┣┛    ┃┃    ★│
│☆    ┏━━┛┣┓┣┛┃┃┏━┛┃┏━━┛┃    ☆│
│★    ┗━━━┛┗┛  ┗┛┗━━┛┗━━━┛    ★│
│☆       ┏┳┳━━┓  ┏┓┏┳┓┏┳┓         ☆│
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│★       ┗┫┣┛┃┃┃┃  ┗┫┃┃┃┗┓       ★│
│☆         ┗┛  ┗┛┗┛    ┗┛┗┻━┛       ☆│
│★                                  ★│
│☆            御  招  待  券              ☆│
│★                                  ★│
│☆        時間 PM 4:00    場所 空地        ☆│
│★         * 欠席した者はぶんなぐる         ★│
│☆                                  ☆│
│★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★│
└─────────────────────────┘
ドクン!!
心臓が高鳴った。
0点の答案をもらってもここまで驚かない。
ぶっきらぼうにも丁寧につづられている紙が2枚置いてあった。
(おかしい!玄関に向かうときに気づかなかった!?)
90:2015/03/08(日) 18:32:20.83
いやそんなこと言ってる場合じゃない。
「ど…ドラえもーーん!!」
よろけながらも自分の部屋に戻る
ダダダダダダ!!
「なんだった?」
今度はどら焼きを食べていた。
事情を一切知らないドラえもんは緩みきっていた。
のび太の切迫した顔を見ると察した。
「また異常が!?」
ドラえもんが辺りを見渡す。
「それどころじゃないよ!これだよ!これ!!これなんだよ!!!」
憎しみが込めてドラえもんに差し出した。
それにはこの世には存在してはいけないもの、そういうイメージだった。
「○×△□!!?」
さすがのドラえもんも瞬時に判別したようだった。
「どうして僕の分も持ってくるのさ!!」
「2枚置いてあったんだよ!」
泣きながらドシバシ殴り合っている。
二人でそんなことしても意味がないことに気づいた。
「どどどドラえもん!」
「!?」
「こうなったらドラえもんの道具で逃げよう!!」
「う、うん!」
いつものようにポケットをごそごそさせる。
まだショックから立ち直っていないのか思うように飛び出さない。
パパパパーン!
「どこでもドア!」
「裏山へ!」
ガチャ
扉を開いたが、のび太の部屋のままだった。
ドアを開けた向こうにドラえもんの姿が見えた。
「ただの扉だよ」
「…………」
パパパパーン!
「タケコプター!」
ビュンビュン
タケコプターは回るには回るがまったく飛び立たない。
「あ、涼しい」
「…………」
パパパパーン!
「スモールライト!」
ピカー
「まぶしい」
のび太に光があたっても何の変化がない。
「…………」
しばらくのあいだドラえもんとのび太が見つめ合う。
「…………」
「…………」
「そ…そんな……」
「このポンコツロボット!!」
「点検に出したばっかんだぞ!!」
またいがみ合っている
チッ チッ チッ チッ チッ
時計の針だけが着実に進んでいった。
もう少しで約束の四時になろうとしている。
「やっぱり行くしかなか…」
「…………」
「みんなも行くんだし…」
「ジャイアンはなんで気づかないんだろう…」
「フグが自分の毒で死ぬはずないだろ」
91:2015/03/08(日) 18:32:51.22
「…………」
足取りが重く空き地へと向かう。
途中で似ような友達も歩いていた。
その誰もが空き地に到着するまで終始無言。
おしゃべりのスネ夫ですら出会ってもなにも話さなかった。
「ボクたちが何をしたっていうのさ…」
そう言えば気がまぎれると思ったけどますます暗くなった。
いつもなら楽しいはずの空き地に到着した。
変わり果てた空き地に。
いったいいつのまに用意したのか、空き地は見事に飾られていた。
木から土管へロープがつながれており、ちょっとした会場になっていた。
「みなさん!今日は忙しいなか集まりいただきありがとうございます!」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「お待ちかねのジャイアンリサイタルの開催です!!」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
ジャイアンを除いて誰一人しゃべらなかった。
しずかちゃんなにおいては震えて今にも泣きそうである。
(あまり息はするな)
(腹に力を入れるんだ。気を抜くと気絶するぞ)
(明日はいいことがあるさ)
(頭を前屈みにして、体育座りをさらにちいさくするような感じで耐えるんだ)
(まだパパとママは悲しませたくないわ)
だれも喋っていないのに心の声が聞こえてくるようだった。
いやたしかに聞こえた。みんなが一つになれたんだ。
そうか絶体絶命のピンチになると人間は一つになれるんだ。
ははは心強かった。
そんな中、空気が凍り付いた。
((((始まるぞ!!))))
力を入れすぎて眼を閉じてしまった。
「~~~♪~~~♪」
「…?…」
「…?」
「?」
「~~~♪~~~~♪」
「……?………!?」
「!?」
「!!?」
(これがジャイアンの歌!?)
(うまい!!)
(どういうこと!?)
ジャイアンはいつものように気持ちよさそうに歌っている。
ただ歴然として違うのは歌がうまかった。



「みなさんお楽しみいただけたでしょうか!?」
ジャイアンは新曲をすべてを歌いきって満足そうにしてる。
ワアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!
盛大な歓声がおこった。


92:2015/03/08(日) 18:33:24.97
「なんだよ~ドラえもん~」
「………」
「ちゃんと道具をセットしてたのかよ」
「………」
「よかった~」
「…うん」
「最高だったよ!次も頼むよ!!」
ジャイアンもドラえもんたちも大満足だった。



「まったくボクには言ってよね」
「…………」
「道具なしだと思ってたから。気を失うかと思ったよ」
「…………」
「さすがドラえもん」
「僕は何もしてないよ」
「え?」



翌日
やさしい光が家を包む。
ドタドタドタドタドタドタドタ!!
静かなときは破られ騒がしく階段を登ってくる。
「ドラえもん!」
「おかえり」
ランドセルを放り投げ、すごい勢いでドラえもんに抱きつく。
「しずちゃんデレデレしてるんだ!先生が宿題出したんだよ!
 出木杉め!ジャイアンとスネ夫は追いかけてくるし!!見返して!くけーー!!」
いつもに増して壊れていた。
「さっさと宿題をやったほうがいいね」
「よく分かったね」
「なんとなくね」
「だから例のペン出してよ」
のび太がちょうだいの手をする。
その手は鉛筆をもつような形になっていた。
踊りながらすらすらと書くような動作を示す。
「ペン?」
きょとんとするドラえもん。
その少ない動作でのび太がなにを欲しているか分かった。
懲りるということを知らないのび太を怒ろうとする。
「のび!……たくん…?」
「……………」
「……………」
「…のび太くん、どうして泣いてるの?」
のび太がすごい勢いで涙を流していた。
「…ドラえもん?…」
「なんだろう…悲しいわけじゃないのに……」
「のび太くん」
「…なんかドラえもんがどこかに行っちゃうようなきがして…」
「…………」
「…もう会えないんじゃないかって」
「…………」
その時、のび太の頭に激痛が走った。
遠い時間を一瞬で経験したかのような衝撃。
「…………」
「…………」
「…ドラえもん…やっと会えたね…」
「……のび太くん…?」
93:2015/03/08(日) 18:33:55.48
姿形はのいつものび太のままなのに、ひどく大人びて見えた。
本当に久しぶりに会ったような顔をして。
のびたの涙が、畳へ落ちた。
ジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジジィィィィィィッッ!!!!!
これまでと比べものにならないくらい力で空間がゆがみ出す。
ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!
窓ガラスが割れ、本棚が強烈に揺れ、漫画本が放りだされる。
「わああああああ!!!!」
のび太の机からすさまじい煙が吹き出てきた。
ドラえもんとのび太の身体が浮かび上がる。
そこから壊れたのび太の机が見えた。
特殊な空間をもたないただの引き出しであることを確認できた。
「そうか!違うんだ!僕の道具が壊れていたんじゃない!!」
「………」
その惨状でものび太の涙はまだ止まらない。
「どうしようもないくらいに世界がおかしくなっていたんだ!!」
その言葉を引き金に世界が変わった。
ドシュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ!!!!!!
真っ白な世界。
どこが上でどこが下か分からない奇妙なところ。
右も左もない。
白い世界。
「ここは?」
「いったいなにが…?」
あまりの出来事についていけない二人。
どうしても頭が考えることをしない。
「…………」
「…………」

「けっこうくるの遅かったわねぇ」

とっさに後ろを振り向く。
さっきまでは誰もいなかったのに人がいた。

少女が。

http://anago.2ch.sc/test/read.cgi/moeplus/1425780554/

2015年03月10日| |コメント:0Edit

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